卒論 ジャパンアズナンバーワンより

1979年の日本 評価されていたこと

1979年日本はジャパン・アズ・ナンバーワンと評された。1950年代前半、第2次世界大戦が終わりを告げ生産能力が戦前と同じ程度にまで回復したが、それでもGNPはイギリスやフランスの3分の1にすぎなかった。それが70年代後半にはイギリス、フランス両国のGNPの合計にほぼ等しいまでに急成長したのである。これはアメリカのGNPの半分以上にあたり、鉄鋼生産量は肩を並べるほどになり、その生産工場はむしろアメリカのものよりも効率化され近代化されたのである。

その成功の要因は終身雇用制や年功序列賃金制など、目先の利益よりも長期的な利益を重視する日本的経営であるとされている。これらの制度を採用している企業では社員は学校を卒業してから定年に至るまでずっと一つの企業に勤めるため、企業は社員の生活に深い関わりを持つ。そこで社員には企業への帰属意識を植え付け、年齢給の導入、年齢相応の地位、個人的援助、福利厚生、退職金などの便宜を図る。こうすることによって企業としては多くの投資をして養成した人間をずっとその企業に留め、習得した技術を十分に発揮させることができ、社員に働く意欲も与えられる。一方社員にとってもよほど不況が長引かない限り解雇される心配がなく、年齢に応じて給料が上がっていくことを知っているため不満は言わず長期的に企業に忠誠することができる。

この経営法の中で企業は社員に対して忠誠心をつなぎとめるため帰属意識を高めることに最善を尽くしている。例えば新入社員には研修を行い仕事の基礎知識を教えるだけでなく、愛社精神を植えつけるために社の歴史や経営哲学の講話をしたり、定期的に宴会やイベントを開催している企業も多い。

またこの制度は社内の人間関係良化に対しても多くの効果を生み出している。社員は会社終わりや週末に同僚同士で麻雀、囲碁、将棋をしたり飲みに行ったりプライベートな交際をする。もちろんこれらは純粋に楽しむためのものではあるが、付き合って親しみを増すことによって仕事をお互いにやりやすくしようという気持ちも含まれている。定年退職するまで円満に付き合っていかなければならないことを知っているため、皆それぞれ緊張関係や競争心を和らげ仲間意識を強めようとするのだ。

こうして終身雇用制や年功序列賃金制といった日本的経営は仕事効率や生産性の向上をもたらし、当時日本の驚異的発展に貢献していた。

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