FinTech

FinTechとは多様な要素が含まれた幅広い概念を持つ言葉であり、そのため新聞記事などを読んでも、「FinTechとは何か」がいまひとつわかりにくくなってしまっている。新しいテクノロジーを指すのか、それとも斬新なビジネスモデルで金融サービスを提供するベンチャー企業を指すのか、など。そこで本書はこのような「FinTech」の多様な要素を段階的に理解するため以下全6章で構成されている。

第1章「FinTechが注目される理由」ではFinTechの登場背景や注目される一因となった業界の特徴などを説明。第2章「進化するFinTech」では40年前から存在する「FinTech」という言葉が時代と共にどう変化してきたかを述べる中でそれぞれの段階での主要プレーヤーを整理している。第3章「いま何が起こっているのかを押さえておこう」においてはFinTechがもたらすものを「金融のデジタル化」という観点で整理し、第4章「金融ビジネス・実務への影響」で既存の金融ビジネスモデルに与える脅威を解説している。脅威をだまって見過ごすわけにはいかず、対抗するために何をすべきか。第5章「FinTechにどう向き合うか」は金融機関と、そのベンダー、そして規制や法制度を司る政府や行政機関などが現在どのような対応をとっているのか、また将来的にどのような対応を検討すべきか述べている。そして、第6章「さらに進化するFinTech」では、現在活発に研究開発が行われる技術が将来的にどのような影響を与えるのかを予想し、我々の生活を作り変える可能性についても言及し締めくくっている。

今まで参考にしてきた文献と大差ないものだと最初こそは感じたものの、金融機関の取り組みを交えながらの解説であったためより具体性の高い解説書であった。やはりこれからの時代、スマホは1人1台がベースとなり、それらを活用してビジネスへと発展させていく必要があると感じた。特に本書の中でも触れられていた「ライフログ」には高い関心を持ち、これから理解を深めていきたい。現段階で言えることは、この先スマホからの情報提供が企業にとっては大きなカギとなるということだ。そして、もちろんそこには法規制との議論もあり課題は山積みではあるものの、経済の転換点に立ち会うことになるのは間違いない。これから卒業論文を執筆するにあたり、金融機関との関わりを学びFinTechの未来を考えることができたことから、良い土台固めの一冊となったと感じている。(969字)

 

FinTech 著者:柏木亮二2016年8月 日本経済新聞出版社

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