【書評】コミュニティを問いなおす—つながり・都市・日本社会の未来

現在の日本では構造的な生産過剰となっており、失業が慢性化している。そこで、自然を超えた範囲領域でのコミュニティや自然に関わる様々な活動や余暇への「時間の再分配」が求められている。本書では「「個人」がしっかりと独立しつつ、いかにして新たなコミュニティを創造するか」という問いに様々な観点から答えている。元々コミュニティは「「内部」的な関係性と、「外部」との関係性の両者をもっている」とし、日本の閉鎖的なコミュニティのバランスの悪さを指摘している。ケアを取り扱っている章では、個人のケアを個別にではなく「他者とのコミュニケーションや関係性の中でとらえること」また、「人間と自然の相互作用に注目する」ことの必要性に触れており、コミュニティとケアの関係性が強固であることが分かった。

「コミュニティ」という数値で測りづらいものについて具体的な数値やグラフを使って示している点について、今後の参考にしたいと思った。一方で、後半の日本の生きづらさである「空気」に関して触れている章では、具体的な施策がなかったこともあり、少々わかりづらかった。今後の行政のコミュニティに関する施策の方向性をとらえるのに参考となる一冊となった。

 

著書 広井良典 2009年 ちくま新書

コミュニティを問いなおす—つながり・都市・日本社会の未来

 

 

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