遺伝子解析技術の進歩に伴い、薬理作用の鍵となる遺伝子に人によって微少な差異が存在することが明らかとなり、ある薬に対する感受性が無い人の存在と遺伝子多型(個々の微妙な差異)との関係が議論され始めています。テーラーメイド医療とは、薬の作用が人によってそれぞれ微妙に異なることからその人にもっとも適するように調合された薬を提供することです。ゲノム情報を元に割り出した体質から、効果が高く副作用の少ない薬を選ぶことができます。例えば「Aさんにはb薬は効かないから、c薬にしよう」といった判断を遺伝子診断に基づいて行うことです。アメリカでは薬の副作用で死亡した人が10万人おり、死因の4位になっている(1994年)ほどであり、副作用のないまたはできる限り少なくする薬を求める声が高まっています。遺伝子診断に基づいた薬を提供することで副作用による死亡率も大幅に下げられると期待されています。


  Aさん →→→ C薬       Bさん →→→ D薬

※AさんBさんは同じ病気だがゲノム情報を元に割り出した体質は異なる                              


これまで同じ病気なら同じ薬で、年齢による投薬量の差しかありませんでしたが、テーラーメイド医療では同じ病気でも体質によって薬・量が変わってくるので、高い効果と少ない副作用でより安全に薬を摂取できるようになるでしょう。

完全に個人に特化した薬の調合は難しいですが、従来の年齢で薬の量を調節してきたような方法に加え、遺伝子診断のデータに基づいた体質によって薬の種類を選ぶことで、よりきめ細かい医療ができると考えられます。