イギリス

遺伝性疾患の遺伝回避や夫婦のいずれかの染色体異常で流産を繰り返す習慣流産の防止などの目的でおこなう着床前診断は法的規制などもなく、広く認められています。着床前診断は政府機関である人工生殖の監視機関「HFEA(ヒトの受精及び胚研究認可局)」が診断を許可する権限を持っています。
また、生命保険の加入条件としてハンチントン病の遺伝子診断を保険会社に認めています。これは世界でも例を見ない法律で、アメリカ合衆国とは正反対のものです。
※ハンチントン病・・・遺伝病。二分の一の確率で子どもに伝わり、残念ながら現時点では治療法はない。


フランス

着床前診断は、重篤な疾患などを条件付きで認めていますが、基本的には生命倫理法によって禁止されています。違反した場合は拘禁二年と罰金という厳しい制限を科しています。アメリカ合衆国のように、遺伝子差別に対する法ではなく“命の選別”を規制するものです。


ドイツ

ドイツでは、着床前診断について法規定(胚保護法※)の解釈をめぐって議論はありますが、事実上禁止の状態です。2002年のドイツ医師議会により、“命の選別”に拍車がかかることを懸念してこのような措置が執られました。

※胚保護法・・・1990年12月制定。研究目的の胚の生産と利用の禁じているが、同法第2条にある「妊娠をもたらすこと以外の目的のために、ヒトの胚を体外で発育させる者」に対する処罰規定、および同法第6条にある「クローン」の禁止規定が、着床前診断をも禁じているかどうかについて議論されている。


オーストリア・スイス・ポルトガル

着床前診断は法律で明確に禁止。