産業クラスター計画

産業クラスター                          参照:首相官邸HPなど

 経済産業省(旧通商産業省)の地域経済産業政策は、1990年代前半以前は、大都市部の工場等を地方部に再配置し、そこに産業の集積を作ることによって地域の発展を図ることに主眼が置かれていた。しかし、1990年代後半になると、円高の進展や中国・アセアン諸国の台頭に伴って工場が地方を飛び越えて海外へ流出するという“地域産業の空洞化”に拍車がかかったため、かつてのように大都市部からの企業誘致に過度の期待を寄せることは困難になった。
 
 こうした動きを背景として、平成13年度に経済産業省が打ち出した施策が「産業クラスター計画」である。それは、従来型の企業誘致に重点を置いた地域経済振興が限界に達しつつある中で、各地域における人的ネットワークの形成を核としてイノベーションを創出する環境を整備し、それにより内部型の地域経済活性化を実現しようというものだ。具体的には、経営者や技術者、研究者、資金提供者といった様々なメンバーが人的ネットワークを形成し、その人的ネットワークの中でメンバーが相互に競争・協調することによって、各地域に競争力のある産業クラスターが創出されることを目指すものである。これらの産業クラスターが苗床となって、中堅・中小企業の新事業展開が促進され、また、大学発ベンチャーが生み出されることが期待される。
 

 経済産業省では、全国に19のプロジェクトを設定し、地域の経済産業局(担当職員約500名)と民間の推進組織が連携し、新事業に挑戦する地域の中堅・中小企業約5,800社、220校を越える大学の研究者等と緊密な協力関係を構築し、「産業クラスター計画」を推進している。代表的な活動内容は以下の5つになる。


 (1) 地域における産学官のネットワーク形成・拡充
  
 (2) 地域の特性を活かした技術開発等の促進
  
 (3) 起業家育成施設の整備等インキュベーション機能の強化
  
 (4) 商社等との連携による販路開拓支援
  
 (5) 資金供給機関との連携

バイオクラスター

 首都圏に集積するバイオ関連の高度技術を有する研究機関や大学等の技術シーズや研究成果を産業化へ橋渡しするバイオベンチャーにフォーカスし、研究開発や事業化が円滑に展開できる環境を整備するため、産学間・企業間の連携によって経営資源を柔軟に補完できる高密度な人的ネットワークの形成・構築を目指している。特に、メカトロ技術等をはじめとする我が国の優位な技術分野とバイオ分野との連携・融合等をベースに、高い国際競争力を有するバイオベンチャーの育成を図り、もって、世界市場で活躍できる企業群を創出することを目標にしている。