バイオクラスター形成への軌跡 参照:日経バイオビジネス2004 12月号
米国
1970年代、米国では連邦政府財政難がきっかけで、産学連携の動きが活発となる。スタンフォード大学から遺伝子組み換えに関わる特許のライセンスを受けGenetech社設立。1980年代に入ると、米国のバーチ・バイ上院議員,ロバート・ドール上院議員の提案により,連邦政府の資金提供によって完成された発明を,大学・非営利団体,中小企業が自分の帰属にすることができるようにし,特許化してライセンスした場合には,そのロイヤルティー収入を発明者や科学技術のための研究開発に還元することを義務づけた「1980年特許商標法修正法(通商「バイ・ドール法)」が制定された.この法律の制定によって,研究を行っている多くの大学等では技術移転機関が大学内または外の組織として設立されるようになり,政府資金の援助を受けて得られた研究成果が,大学等の所有として特許化され,大学等と,企業間でライセンス契約して技術移転される途が開かれた.さらに1986年、連邦技術移転法が制定され、大学や連邦研究機関の成果の移転や共同研究が行えるよるになる。米国は法の整備を進め起業や民間企業との連携を推進していくなど、体制を整えていった。そうして米国では90年以降、バイオベンチャーの隆盛が起こる。
日本
日本のバイオクラスター計画は、技術移転機関のためのTLO法:日本版バイ・ドール法の整備、自治体の優遇体制やインキュベーション施設の整備など、米国の成功した施策をひたすら真似てきた。しかし計画が開始されたのがアメリカより20年遅れている影響で、まだ日本のバイオクラスターやっと基盤が整ってきた、という段階である。現在、クラスターにおけるベンチャーの起業や中小企業への技術移転を活発化を図っている。1999年に「産学活力再生特別措置法」と呼ばれる法律が試行され、大学が企業に技術供与する機会が増加した。
バイ・ドール法
バイドール法とは、米国において制定された法律のうち、産学連携で開発された知的財産に関する条項の通称である。1980年に制定された。正式名称は「Public Law 96-517, Patent and Trademark Act Amendments of 1980」である。バイドール法によって、政府の資金援助を受けて大学が開発に成功した知的財産の権利を、政府だけでなく当の大学にも帰属させることができるようになった。これによって、大学は企業などにライセンス供与することができるようになった。日本では、1999年に「産学活力再生特別措置法」と呼ばれる法律が試行され、同じく大学が企業に技術供与する機会が増加した。
TLO法(日本版バイ・ドール法)
TLO法とは大学等技術移転法の略称で、産業活性化・学術進展のため、大学の技術や研究成果を民間企業へ移転する仲介役となる承認TLO(技術移転機関)の活動を国が支援するもの。1998年8月に施行された法律で、アメリカの連邦技術移転法及びバイ・ドール法内容はほぼ同じである。