農業クラスター
農業分野のシーズを生かすクラスターは、技術シーズを持っているだけではなく、新しいビジネスモデルの展望を所持しているかどうかということが重要となる。というのも、海外から安価な農産物が次々と輸入されているのが現状だからである。いくら高付加価値農産物を開発しても、国内で生産するのは価格で競争するのが難しくなってきている。そこで、高い農業関連技術を活用して、国内外の農産物市場を目指している企業などをサポートしようというのが、関西国際空港から1時間もかからない位置にある和歌山県である。
和歌山県農業クラスター
この和歌山県農業バイオクラスターに所属するJA和歌山県農の植物バイオセンターは、細胞培養が難しい植物を培養可能にする高い増殖技術や、植物ウィルスやウィロイドに汚染されていないウィルスフリー苗を生産する技術を持つ。また、その一方で、同センターは、労働コストが安価な中国でクローン苗の生産を行っているサッポロビールと、苗の委託生産で協力している経緯を持っている。
これらのノウハウを活用するため、優良品種を同センターに持ち込んで良質のクローン苗を生産する技術開発に成功すれば、委託で安価に大量の苗を調達できる仕掛けも活用できる。そうすれば、品種を1つ開発するだけで、国内外を含めた巨大市場を相手にできるだろう。