バイオベンチャーの会計基準     日経バイオビジネス9月号

「バイオベンチャーの監査を担当していると、売上としてみとめる、認めないで、企業側と見解が異なることがよくある。

会計士の間でも意見が分かれることは少なくない。」と公認会計士たちは語る。会計士達を悩ます原因となってい

るのは、収入=売上に必ずしもならないバイオの成果物にある。会計において、収入として認められる取引はは経済

合理性があるものだけである。経済合理性は、取引する対象に見合った対価が支払われる取引に生ずるものである。

バイオビジネスの場合、売り物となるのは形のあるものではなく、研究の過程で得た情報や知識である場合が多い。

そういったものは価値を算出するのが難しい上に、だれが受け取るかによって価値が変り得る。そのため収入の対価が

何なのか分かりにくいのである。

 バイオベンチャーには契約一時金やロイヤルティーなど様々な収入形態が存在する。どういった収入が売り上げとし

て認められるのか、以下にまとめてみた。

収入の種類 売上として認めるか 要因
補助金・助成金
×
通常は売上として認められない。
契約一時金
販売権や利用権を供与するけい役では、販売する製品や利用する技術が契約時点で完成していなければ、売上として認められない。共同研究などの契約に伴う一時金では売上として認められる可能性は高い。ただし内容により一括計上できない時も。
研究協力金
単に共同研究を行うことに対する収入であれば、コストの肩代わりとみなされる。売上として認めさせるには、何らかの成果物を契約先に引き渡す必要がある。
マイルストーン
研究開発で得た特定の成果物の引渡しに対する収入であるため、売上として認められる可能性が高い。
ロイヤルティー
成果物を引き渡した後、その成果物が販売されたことなどに対する収入であるため、計上に何の問題も無い。