新たな遺伝子導入法



 遺伝子導入は現在のライフサイエンス研究で基盤となる技術。それだけに、ウィルスベクター法を始め、リボフェクション法

やエレクトロポレーション法などすでに確立されている技術は多い。東京都港区にあるバイオベンチャー企業、バイオバンク

は、これれの従来法に比べて効率良く遺伝子を導入できるという新しい遺伝子導入装置「ジーンシンフォナイザー」を発売。

基礎研究現場での浸透を図っている。

 従来の方法の中で、一番導入効率が良かったものは、ウィルスベクター法である。しかし、この方法は、導入遺伝子の

サイズが限られ、取扱いを厳重にしなければならず、大量生産に向かないという制約がある。つまりウィルスベクターに近い

導入効率を持ち、なおかつ簡単に取り扱える装置の開発が期待されていた。

 ジーンシンフォナイザーによる遺伝子導入は「共鳴励起法」名づけられている。セラミックスやガラスなどの絶縁体で覆った

一対の電極間に、瞬間的に40万Vという超高電圧をかける。電界のなかに、細胞と導入したい遺伝子を置けば、お互いに

近づいた際に、両者の衝突エネルギーが細胞膜資質二重膜内の水素結合エネルギーを凌駕した際に、遺伝子が細胞内に

進入するという原理である。