【遺伝子組み換え(GM)不分別表示】



・遺伝子組み換え(GM)不分別表示とは

「GM不分別」というのは、非遺伝子組換えのものと遺伝子組換えのものを、流通過程で分けていないという意味。

非遺伝子組み換えであることを証明するためには、農場から製造工場に原料が到着するまでのすべての流通過程で、厳密な管理を行い、分別して運ぶ必要があります。

このようなシステムをIPハンドリング(分別生産流通管理)といいます。分別管理したことを証明する書類をもとに、加工業者は「遺伝子組換えでない」という表示が任意でできるのです。

このようなIPハンドリングを行わず、混ざったまま流通している場合を「不分別」といい、その場合には、「不分別」とする表示が義務付けられています。

※JAS法では、植物油や醤油のGM不分別表示は義務付けられていない。


【GM不分別でも売れている/生協の食用油が非GMを上回る】   


 遺伝子組み換え(GM)作物の栽培を規制する動きが活発さを増す一方で、遺伝子組み換え不分別の商品が、非GM商品と比較しても遜色ない売れ行きを見せている。

日本生活共同組合連合会が販売するプライベートブランドの食用油の売り上げは、非GM商品である『キャノーラ油』が12万個の売れ行きに対して、GM不分別の表示を行っている『一番搾りキャノーラ油』が285万個、『サラダ油』が147万個の販売数を記録している。

小売価格は加盟生協および店舗によって異なるが、1.5リットル食用油ならば、非GMより不分別の方が数十円ほど安くなっている。「表示自体が認知されていない」という指摘もありそうだが、GM不分別か否かよりも、価格の差の方が売れ行きに反映されているのは確かだといえる。

『コープこうべ』のプライベートブランドであるGM不分別表示のサラダ油の03年度売上高は、約3200万円。日清オイリオ製品の食用油の03年度売上高は4800万円、味の素は2100万円。GM不分別表示をしていない国内大手食品メーカーの商品と比べても遜色は無い。

(日経バイオビジネス 2004年 9月号)


消費者の認知が進んだことに起因するのか、単に関心が無かったことによるのか、この結果から判断することはできない。しかしながら、既にGM食品が市民の生活に浸透していることは事実だといえる。そしてこのことは、「絶対に遺伝子組み換え食品はいやだ」という消費者は実はそれほど多くないということ物語っているのではないだろうか。真価は、低価格や有効成分などの付加価値を実現し「GM使用」の表示を堂々と打ち出す食品が出てきた時に改めて問われるだろう。