「セル苗生産技術」



セル苗とは

セル苗とは、蜂の巣状に穴のあいた「セルトレイ」に用土を詰め、機械で種を蒔き、育成管理された非常にデリケートで若い段階の苗のこと。植え付けの時の傷みが少なく、作業も効率的なことから、野菜や花の苗作りでは一般的に使用されるようになった。セル苗は、植え穴に差し込むように定植でき、形が電気製品などの差し込みをイメージさせることから「プラグ苗」とも呼ばれる。

「セル」とは、小さく仕切られた部屋のこと。

                

(写真左:セル苗、右:セルトレイ)


1989年に2億本の大台に乗ったといわれたセル苗の生産は、毎年急速にその数を伸ばし、1991年には4億本を超えた。さらに、従来からの種苗メーカーに加えて、培養苗の大量増殖を手がけていたキリンや協和発酵、日本たばこ産業(JT)などの大企業も植物バイテクと苗生産の接点としての苗産業に関心を示し、共同出資、提携、委託などさまざまな方法で苗産業に参入してきた。

現在でも、キリンやサントリーなどの数社が種苗事業を展開している。都道府県の試験研究機関でもセル苗を利用した栽培技術の研究が精力的に行われ、現在では各種の野菜や花などでセル苗を使った栽培が広く普及・定着している。