遺伝子組み換えの問題点とその実例

遺伝子組み換え反対派で、市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」事務局長の安田節子さん側の主張を、以下にまとめた。


1、 実際に遺伝子組み換え食品を食べた人で死にいたったひとがいる。

(昭和電工トリプトファン食品公害事件、1988〜89)

必須アミノ酸の「L―トリプトファン」を健康食品として、昭和電工が組み換え体利用で製造したところ、これを食べた人が米国を中心に健康被害者1543人、死者38人を出した。好酸球増加筋肉痛症候群と呼ばれる症状によるもの。

2、 女性とこどもに乳がんが発生する危険性が高くなる。 組み換え体利用で微生物に作らせた牛成長ホルモンrBGH(商品名ポジラック)を肥育促進、乳量増加の為に使用した場合、牛は乳腺炎になりやくす、抗生物質の投与が増える。また、牛乳中のrBGHは血液に吸収され、アレルギーやホルモンへの影響がある。また、投与された牛にインシュリン様成長因子が増加する。
3、 実質的同等性の安全性評価は不確かである。 ふつうの作物とは明らかに違う性質をもったものなのに同等とみなし、表示もさせない「実質的同等性」の論理は、開発企業の商品化コスト負担を減らし、貿易の経済性のために生み出された便法である。
4、 殺虫毒素生成の作物は不完全

殺虫成分に対して虫は耐性を持つようになる。耐性害虫が生まれる。殺虫毒素を含む作物を人も家畜も食べることになるが、殺虫トウモロコシが家畜の体を通して肉や卵・ミルクになった場合の影響についてまでは調べられていない。

5、 動物実験をしても安全確認ができるわけではない。 たとえ動物実験でアレルギー性がないとしても高度な免疫反応であるアレルギー性については、人での臨床試験をしてみなければわからない
6、 遺伝子組み換え技術(アグロバクテリウム法、パーティクルガン法)は開発途上。 アグロバクテリウム法やパーティクルガン法では入れ込む遺伝子配列のどこに入るかはわからず、もともとあった遺伝子の何を破壊したかもわからない。
7、 抗生物質が効かなくなる。 遺伝子組み換えでは、組み換えが成功したものを選抜するための目印(マーカー)遺伝子が一緒に組み込まれるが、それには抗生物質のカナマイシン耐性遺伝子などを用いる。組み換え作物を食べた人間の体内で、抗生物質耐性遺伝子が町内細胞に取り込まれて、抗生物質の効かない体になってしまう可能性がある。
8、 新種の病原性ウイルスの出現の可能性。 遺伝子組み換えによりつくられた、ウイルス抵抗性タバコに病原性を失った突然変異の無毒ウイルスを感染させたところ一部のタバコ植物が病気になってしまった。タバコ植物中に入れ込まれたウイルス遺伝子を無毒の感染ウイルスが取り込み、病原性をもってしまった。
9、 組み換え技術は飢餓を救えない。 飢えている人々はお金のない貧しい人々であるが、組み換え技術は実際は多国籍企業が利益を独占するためにおこなっていることなので、これらのお金のない人々には届かない。