遺伝子組み換え技術の環境への影響


オオカバマダラ(チョウの一種)の例

これは、コーネル大学の研究グループの実験結果であるが、Btとうもろこしの花粉を振りかけたトウワタの葉をオオカバマダラの幼虫に摂取させたところ、4日間で44%の幼虫が死亡し、他の幼虫も発育不全となったというものである。(1995年5月20日付けの「Nature」掲載)

この結果で、Btとうもろこしは標的害虫以外をも殺してしまうということが証明された。

しかし、この結果の後世界各国の20以上の研究グループにより、調査が行われた結果、自然界ではオオカバマダラの存続に影響を与えることはほとんどないということが分かった。どういうことかというと、オオカバマダラはBtとうもろこしの一部を食べると死ぬがオオカバマダラはとうもろこしの葉を食べることがなく、またとうもろこしの花粉の飛散する時期とオオカバマダラの幼虫が生存する時期はすれており、幼虫がとうもろこしの花粉をくちにすることはほとんどないということだ。

この実験結果は実験室内であったから起こりえたことなのかもしれないが、しかし、将来にわたって見たとき生態系に影響を及ぼすことが絶対にないとも言い切れないのが現状ではないだろうか。

安全性の審査

環境に対する影響については、農林水産省の「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」に基づき安全性が確認される。

開発者は、利用する農作物や遺伝子の性質を明らかにした上で、遺伝子組換えによって作られた農作物について、まず隔離ほ場(フェンスで区分されたほ場)において試験的な栽培を行い、花粉の飛散性や他の生物に及ぼす影響などに関するデータを収集して、環境に対する影響を調べる。

その結果が農林水産省に提出され、審査の結果、環境に対する安全性が確認されたものが、これまでの農作物と同じように一般のほ場でも栽培または輸入できる仕組みになっている。