遺伝子組み換え食品に関連する死亡事故

現在までに報告されている遺伝子組み換え食品を食べて死に至った人がいるという事件はトリプトファン事件だけです。


トリプトファン事件

この事件は、1989年後半、米国において、L−トリプトファンを主成分とする食品を摂取した者の中から、全身性の激しい筋肉痛と好酸球増多を主な症状とする健康被害(好酸球増多・筋肉痛症候群:EMS)が多発したもので、報告患者数は米国だけで1500人以上と言われています。

この事件は、L−トリプトファン含有食品の製造工程で生成された不純物が健康被害の一因であったと言われており、厚生省の「必須アミノ酸等製品による健康被害に関する研究班」においては、これらの不純物が組換えDNA技術と直接関連性があるとは言えないとしています。

1993年以降、アメリカのADM社が遺伝子組み換え微生物による、L-トリプトファンを生成して販売していますが、これまでのところ問題は生じていません。

遺伝子組換え食品でアレルギーを起こしたと言われる事例もあります。これは、ある企業が、大豆の栄養価を高めるために、ブラジルナッツのDNAを入れてみたところ、アレルギーを引き起こすことが分かり、開発が中止された出来事を示しています。その時は、ブラジルナッツが一部の人にアレルギーを起こすことを確認した時点で、商品化はとりやめになりました。

以上のことから、現在のところ遺伝子組み換え食品そのものが人を死にいたらせるということはないと言えます。