LexisNexis Academic 12/4,2002
MENBER STATES AGREE ON GM-LABELLING OF FOOD

 

1.本文中に出てくる単語について

Agriculture Council:農業評議会
European Parliament:ヨーロッパ議会
European Commission:ヨーロッパ委員会
The draft Regulation:規制草案
EFSA:European Food Safety Authority
SCFCAH:Standing Committee on the Food Chain and Animal Health

moratorium:モラトリアム(広辞苑より引用)

  1. 債務者の破綻が経済界に大打撃を与えることが予想される場合、法令により一定期間、債務の履行を延期する措置。支払い猶予。支払い延期。
  2. 差し当たり実施を中止すること。棚上げにすること。多く、核実験の一方的停止や原子力発電所の設置禁止措置についていう。「原発−」
  3. 人間が成長して、なお社会的義務の遂行を猶予される期間。また、その猶予にとどまろうとする心理状態。エリクソンが提唱。「−人間」

2.各段落要約

 EUの農業大臣らは11月28日、遺伝子組み換え食品と、遺伝子組み換え成分を含む飼料の安全とラベリングに関する合意に至った。それは、環境保護団体“Greenpeace”にすぐに「世界の絶対的で完成された法である。」として受け入れられた。2001年7月、農業評議会において大臣らは遺伝子組み換え食品、及び飼料に関する委員会草案の政策上の合意に至った。それは、遺伝子組み換え食品、及び飼料の安全性を市場に出回る前に調査を要した。その合意のもと、0.9%以上の遺伝子組み換え要素が存在する食品、及び飼料に詳細なラベリングが必要となる。0.5%の黙認されたしきい値は、遺伝子組み換え食品、及び飼料に偶然的に存在するアクシデントのために設けられた。この合意は、ドイツ、フランス、イタリアなどが先頭に立つことを嫌がったため、これらの大国のサポートにより、デンマーク大統領が先頭に立ち、大多数に合意に至った。その対極にいるイギリスは、厳しすぎるとしてデンマーク大統領の妥協案に反対した。(イギリスはしきい値を1%とすることを提案していた。)また、ルクセンブルクとオーストリアもまた、この提案に反対したがその提案は異なり、偶然的に存在することが黙認されるしきい値は認めず、ラベリングの義務を、ウイーンは0.1%、ルクセン ブルクは0.5%としている。実際には、これらのレベルの調和により、7月3日、ヨーロッパ議会に承認された。

 話し合いは連日続けられた。その中心は、遺伝子組み換え食品、及び飼料のラベリング義務のしきい値である。デンマーク大統領の妥協案は、ヨーロッパ委員会と加盟国8カ国に後押しされ、1%という数字が出されたが、他の7加盟国(ドイツ、オーストリア、ベルギー、フランス、イタリア、ルクセンブルク、ポルトガル)には受け入れられなかった。それらの国々は、オーストリアの提案する0.1%から他の多くの国が提案する0.5%を推した。他の15カ国の合意を曲げるため、0.9%という数字が提案された。いくらかのしり込みの後、委員会はバランスを取ることなった。

 規制草案は承認されたが、このルールは厄介なものとなるだろう。食品や飼料は、DNAやたんぱく質が存在する限り、遺伝子組み換えから成る。彼らは遺伝子組み換えの痕跡を含まない商品を提供しようとしているのである。簡単に言えば、食品や飼料すべてについてラベリングをすることとなるのである。動物の飼料に限っては、大きな問題であろう。遺伝子組み換えの粉末の大豆にしろ、遺伝子組み換え成分は飼料に含まれる。それがラベリングの対象とされていないのは今日に限らず、今後も変わらないであろう。

Presence of minute traces of GMOs.
〜微量な遺伝子組み換えの痕跡の存在。

 微量な遺伝子組み換えの痕跡の存在について、ルールによる規制と枠組が承認されたのにも関わらず、反対意見が多くの国や議会から上がってきた。これらの反対意見に対し、デンマーク大統領はこのしきい値を3年間に限ったものとする提案を行った。委員会の承認のもと、しきい値は0.5%とされた。この数字が意図するものは、本質的には、末端の商品に遺伝子組み換え成分を排除しようとする動きがあるにも関わらず、頻繁に遺伝子組み換えの痕跡の存在が発見されるということに答えるものである。7月の当初、ヨーロッパ議会はしきい値を0%とすることを唱えていた。

The products concerned.
〜商品への影響。

 規制草案は、遺伝子組み換えの成分を含む食品、及び飼料に適用されるものである。(すなわち、成分に遺伝子組み換え要素が含まれるもの。)しかし、文章による表記は、遺伝子組み換えによって作られる商品をカバーすることができない。それはすなわち、チーズなどの遺伝子組み換え酵素によって作られるもので最終的な商品には痕跡を発見することができないものである。同じことがミルクや卵、肉などにも言える。動物の飼料に遺伝子組み換え成分が含まれていたり、与えられる薬が遺伝子組み換えによって作られていたりしても、それがラベリングされることはないであろう。

Authorisation procedure.
〜委任された過程

 規制草案は、評議の過程とこれらの商品の委任に関して変化を余儀なくさせた。委任された過程は現在のところ、複雑ないくつかの段階を踏む。最初の段階としては各加盟国の市場に規制草案を導入するというものである。しかしながら、評議会の最終日に、大型ショッピングセンターの責任ある人物を集め、完全に中央集権化したEFSAによる評議の段階を設けることで合意した。EFSAは、SCFCAHにて是認された意見を受け、地域レベルでの提案を行う。SCFCAHが定めるラベリングの表記は、その商品が食品や飼料を扱う限り、一回だけの承認に限らない。これが意味することは透明性である。

 人間と動物、そして環境へのリスクは、各国に委任されたEFSAにより評議されるだろう。EFSAの意見は公表され、また、世論は彼らに監督をゆだねることとなる。認可された商品は、遺伝子組み換え食品、及び飼料のリストに登録される。EFSAは状況に合わせ、存在が適切であると判断されている限り、市場に出る商品を監督する。EFSAはここ10年の間に新しく生まれ変わるであろう。

Fate of the moratorium.
〜モラトリアムの行く末。

 このような事実上のモラトリアムな考えの最初の段階は、1999年にヨーロッパをテリトリーとする市場の有力者から派生したものである。しかしこの問題は近いうちに、ヨーロッパ議会において再調査する必要がある。そして遺伝子組み換え食品、及び飼料に関する法規制を完成させ、このようなモラトリアムを取り払うためには、今、環境大臣らは、遺伝子組み換えの痕跡の存在とラベリングに関する2つの草案に合意するしかない。ヨーロッパ委員会のかたわらに、いくつかの加盟国と、アメリカ合衆国は、モラトリアムをサポートする6カ国に圧力を高めている。農業行政長官のFranz Fischlerはこのような状況にも関わらず、「先のことを考えた行動を取るべきである。そしてすでにバイオテクノロジーの技術は進んでいることを消費者に説明すべきである。」と加盟国に呼びかけた。彼は、しばしば行政のリーダーへ向け、「遺伝子組み換え技術に関する責任を持つべきである。」そして、「対抗勢力のポピュリズムに屈服してはいけない。」としてこれらの新しい技術について語っている。もし、このようなモラトリアムがなくならなければ、WTOが保護政策を打ち出す前に、アメリカがこれらを持ち込んでしまうであろう。

 遺伝子組み換え食品、及び飼料に関する規制草案は委員会が食品の安全に関する保証を提供する提案の1つである。EUの国々は事実上のモラトリアムを提供し、確実なラベリングを保証する必要性に圧力をかけてきた。ラベリングと遺伝子組み換えの痕跡の存在の話し合いは、国際的なレベルでここ3年間行われてきており、2002年6月に裁可することを決定した。平行して、規制案2001/18が採択された。これは遺伝子組み換え食品、及び飼料について自主的に規制するものである。この背景には、デンマーク大統領が草案で妥協案により、合意を優先させたことなど、結果としてモラトリアムを取り払おうとする動きがあった。これらの採択は、モラトリアムを取り払う最初の段階となるだろう。

 

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